森山:だって荒木さんだって最初はさ、なんだかアサヒジャーナルとか色々週刊誌に自分の撮った変な写真をペタペタ貼って送ってきたもん。「何やってんだ?この人」て思ったけど。
中山:これなんですけど。(森山さんに自作冊子隔週ナカヤマを渡す)
森山:ふふ(笑)?隔週ってのが切ないな(笑)。
中山:最近月刊になったんです。
森山:なんだぁ?週刊にならないのか?(一通り見た後)いつからはじめたの?
中山:十ヶ月ぐらい。去年の11月ぐらいから。
森山:隔週はキツいわけ?
中山:だんだんキツくなってきて。
森山:中山君はフィルムで撮ってるの?それともデジタル?
中山:フィルムですね。はい。
森山:じゃやっぱり現像したり色々時間が掛かるよね。
中山:そうですね。ぜんぜんデジタルでもいいんですけども、お金が…(笑)。
森山:じゃあしょうがないよね。フィルム使えばいいんだよ。ただ、なんかこう、上手く言えないしね、そうやって、シコシコ自分でね(笑)、出してるってのは、基本的に良いと思うけどね。やっぱりそこから始めない限りさ、繋がっていかないから。ただ、抽象的な言い方だけど、もうちょっとせっかく自分の作ってるスペースだから、何をってのは上手く言えないけど、もうちょっと無茶出来んかね?あまりにも広い言い方だ から、上手く言えないけど。
中山:パンチみたいなもんですか?
森山:まぁパンチて事でもいいんだけど、なんかもっとワケがわからん…ワケがわからんてのもちょっと違うね…、なんかもうちょっと無茶出来んかねぇ。だって誰に遠慮もいらないんだから。まぁ、実験と言ってもいいしね、冒険て言ってもなんでもいいんだけど、なんかこう、、さっき言った『自信』『過信』『妄信』とは別の意味だけど、自分の写真をあんまり信じない方がいいからさ。さっき中の分のさわりだけ読んだけど、あんまり信じてないみたいだけどさ。でも、自分の写真をあんまり信じない方がいいからね。やっぱり自分の写真を壊していかないと。とくにあなたの様にさ、スナップショットでやってくと、やっぱり常に自分のネジって言うかさ、壊して分解していかないと、自分が妙に固まってちゃうって言うの?自分のトーンを中途半端に作っちゃわない方がいいよね。
中山:壊す…。
森山:まぁ難しいんだけどね。じゃあ何をどうねぇ、これは自分の写真なんだし、これをどうのこうだ言うのってさ、まず思うと思うけど、でもね、やっぱりなんかあるんだよね。やっぱり自分の意識をちょっとピッチを変えるだけでさ、出来るかもしれない。まだ見えないんだけど、気分だけを言うと。
中山:まぁこう言う事、独りでやってるんですけど(笑)。荒木さんははじめそんな事をやられてたんですね。なんかコピー機でやられてたとか?
森山:うん、なんかゼロックスでやってたし、なんか週刊誌に自分のベタ焼きを切り取って貼ってさ(笑)、なんか送ってきたよ。なんじゃ?コイツって思った。
中山、中馬:へぇ〜
森山:だからさ、良いとか悪いとか言ってもしょうがないけど、もっとさ、部数作ってんなら有効な所に送れよ。まぁルーニーもいいけどさ。もっと突然へんな所にさ、あっちこっち送っちゃうんだよ。どうせわけのわからん、クズみたいに思われるよ。でもいいからさ。やるんだよ。そういう事が、ある種、演出みたいな事なんだよね、僕が言う。別に荒木さんのマネしろとは言ってないけど。でもやっぱりさ、嫌らしい言い方だけど、やっぱり効果がないと。自分の作った物を見せるって事は。
中山:そうですね…、やっぱり意味が…
森山:やっぱりルーニーだったらさ、まぁルーニー観に行く人とか見るよね、でもそれはやっぱりそう言う世界じゃない。突然、例えばミュージックの世界が好きなんだったらさ、そっちの自分の好きなアーティストになりさ、ぽ〜んと送ったりさ。いろんな所に送った方がいいよね。せっかく作ったんだからさ、自分の勝手なんだから。あんまりこう、狭い写真をテリトリーにね、あんまり効果ない。
中山:無意識にそういうモノに縛られてやってるのかも知れないんですけど。
森山:うんわかるけど、でもやっぱりそこから抜けてかないとね。
(『教えて森山総長』その10に続く)