home > 特集

『教えて森山総長』その13

梅村:森山さんと他の人のストリートスナップとの決定的な違いは、森山さんの写真はエロティックだよね。

中山:あぁわかります。そうですよね。森山さんはなぜそんな、エロティックな写真になっちゃうんですかね?

森山:だってエロティックに見えるんだもん。いろんな物が。女のお尻だけじゃないよ、いろんなものがエロティックに見えるね。

中山:森山さんしか出来ないのだと思います。街をエロティックに見てる視点の写真は、森山さんだけなような気がするんですけど。

森山:そんなことないよ(笑)。そんなことはない。

中馬:『記録』を拝見してましても、やっぱりあれだけの小冊子のこれだけのページぐらいでも、やっぱり見てるうちに急にその中で写真が動き出すみたいな、なんか不思議な感覚になる時があるんですけど。

森山:ほんと?へぇ〜。

中馬:最初2〜3ページ開いて次行ったとたんに、急に(写真集の中の)世界がガラッと変わるような、面白さを感じます。

森山:そう?俺はわからんけどねぇ(笑)。まぁそういう風に見てくれるのは嬉しいような気もするけど。まぁ、俺が基本的になんてぇの?スケベなんだよ(笑)。見る目がどこかさ。

梅村:だから、スケベじゃないとダメなんだよね。やっぱ生命の人間の根源だからさやっぱ。

森山:例えば中平卓馬もさ、『来るべき言葉のために』て本はさ、物凄くエロティックでしょ?色っぽいよね。あれはやっぱり中平の体質だよね。

中山:直接的な物は写ってないんですけど、それがエロスに。

森山:なんか夜の濡れた花輪とかさ、バァーと過ぎるトラックだとかさ、色っぽいよね。

梅村:森山さんはテーマの中で直接的なのを撮ったのもあるでしょ?

森山:うん?

梅村:『プロヴォーク』で中平さんと一緒に撮ったんですよね?エロスてテーマで。

森山:俺は女の子とホテルに行ったんだよ。

梅村:そのまま撮ったんでしょ(笑)。

森山:そりゃそうだよ。中平は絶対にああいう風にやるだろうし、多木(浩二)さんはああいう風にやるだろうと思うわけだよ、わかるから。で俺はストレートにこっちだよって。夢の様な昔だね。中馬君の写真はちょっと色っぽいね。映写機の写真とか、まぁそれだけじゃないけど。展覧会やったじゃない、resistの『不撓不屈展』。あの時にも、その後もちょっと見たけど、単純に俺が言う色っぽいと。

中馬:それは凄い嬉しいです。『不撓不屈展』の時、森山さんに講評頂きたかったんですけど、話す機会が無かったもんですから。

森山:まぁいちいち講評なんていいんだよ!

中馬:いやぁ、最後の総決算だったので是非ともお聞きしたかったのですが。緊張してしまって、お聞き出来なかったんですけど。

森山:ああなるほど、そう言う時期だったからね。ある種の生理的ななんかがこの人には有るなとね。それは前にも言ったと思うけど、一点ぐらいその映写機の写真見て。

中山:でもなんか僕もわかる。

森山:変な言い方だけどさ、僕の記憶だけで実際はわからないけど、忘れてるけど、映写機とかがなんか昆虫に見えたりするんだよね。フッと映写機の写真がね、単に映写機を写してるだけなんだけど、なんか昆虫に見えたような記憶があるね。

中山:緞帳とかも、なんか波打っている所とかが、なんかエロティックに感じる。

森山:そう言うのってさ、それぞれの中の意識下の中にあるもんだからね。やっぱそう言うのが出てくるんだよね。ヒュッとね。やっぱりしつこく、しぶとくね。写真なんて一面だけじゃないから。多面的だからさ。

(『教えて森山総長その14』に続く)

更新日:2010年4月19日