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『教えて森山総長』その11

中山:また質問に戻るんですけど、森山さんは世界で個展とかやられたり色々活躍されてるんですけど、海外の写真家と、日本の写真家との違いとかあったりしますか?

森山:う〜ん…俺はあんまり海外の写真家は知らんぞ。ただね、ヨーロッパでもアメリカでもそうだけど、例えば写真展とか観に行くじゃない、面白くねぇよ。何やってんのコイツら?みたいなさ。僕は日本人だから日本びいきしてんじゃまったくなくてね、やっぱり日本人の写真家ってのは今の若い人も含めて、やっぱりフレキシブルで結構いいよね。質がいいと思う。それはひいき目ではなく。やっぱり全部とは言わないし、僕もいっぱい見てるわけじゃないから言えないけど、やっぱ外国人のはさ、理屈っぽいよね。それからなんかさ、ゲイ撮りゃいいみたいなさ、ゲイなんか見たって面白くないんだよてこっちはと思うじゃない。よっぽどね、それこそメイプルソープぐらに撮ったら別よ。なんだか観念的なんだよね。それから逆に薄綺麗に撮ったりさ、意味ありげに。大した意味ねぇよなとか俺思うんだけどな、見てて。

中山:肉体性が無い?

森山:う〜ん、なんかはき違えてるんじゃないかってかさ。本来だったらあいつらは肉食だからさ。もっとなんかあっていいのにさ、なんかみんな表現になると妙に観念的だよね。つまんないよ。一度ね、パリでいくつかついでに観てさ、最後にフッと見たら荒木さんの写真があってさ、(荒木さんの方が)ぜんぜんいいじゃんって(笑)。ほんとそう。これだよな、写真はみたいなね。もちろんそうじゃない人も居ると思うし、僕が知らないだけでね。でも、全体的に、僕は日本の今の若い人たちも含めて、日本の写真は成熟もしているし、元気だと思うよ。やっぱり写真の表現について、みんな果敢にやってるなって思う。意味ありげにゲイ撮られてもさ(笑)、どうしたの?ってさぁ。もういいよ、そう言うのはって感じ。あんまり肉食人種ブンブンしたようなのあんまり見ないね。ヨーロッパは全部はわからないけど、アメリカはやっぱり学校で写真を教わるからね。で、学校の先生がやっぱり理屈から始めてるから。

梅村:ああそうかぁ。

森山:つまり、じぶんの写真を説明出来なきゃダメみたいなさ。それはそういうモノもあるよ。でもそれだけではないじゃない。結局は説明出来ない事をやってるわけだから。それだけではないって事というのは、写真の方に出てないとダメで。まず向こうの人って喋るよね、自分の写真についてね。もううるさい(笑)。もういいからさ、でも写真がつまらないじゃないみたいな。

中山:逆なんですかね?森山さんの考え方とは。

森山:そうだね。

中山:まず写真でアッと言わせて、そこから…

森山:うん。だってどうせ意識とかそう言うのって入ってるわけだからさ。そう言うのってやっぱり、コンセプチュアルなもんなんだから実はね。どうであれ、そこにはコンセプトがあるわけだからさ。

中山:それを説明する事自体がおかしい事なんかもしれませんね。写真に写ってないと。

森山:自分はこうこうこうで、って思ったかもしれないけど、写真はそうじゃないだろうてさ。

中山:結構そういう風に森山さんは海外の写真家を見てられるんですね。

森山:でも俺はどっかに僕の知らない、凄い奴が居るんじゃないかと思うけどね。居ないわきゃねぇよなと。アメリカだし、ヨーロッパだし。日本の写真家とか写真の方が、もっとなんか肉体的だって気がするよね。なんとなくね。

中山:生活とかが入ってるってのもありませんか?

森山:まぁそういう事もあるかもね。ある意味ね。でも、ぜったい居ると思うけどなぁ、アウトローみたいなさ。若い奴で、実は面白いっていう奴が。そう言うのが出て来れないだけだよ。なんとなくアカデミックになってるからさ。

中山:どこかに潜んでる…

森山:居ないわけないもん。居ないわけないんだよ。ペーターセンなんて僕はね、友達っぽいし、向こうの人だけどね、まぁ有名な人だよね、ヨーロッパでもアメリカでも。ペーターセンでもさ、最初は面白いと思ったけど、やっぱネェちゃんの裸撮ればいいてもんじゃないしさ。なんか、自分のプライベートをさ、セックスシーンも、もういいよってみたいなのがあるね。なんか逆に薄まった露悪趣味みたいな。本人がまずやってんだろうけどさ、なんか見ると薄まっちゃってるよね。まぁでも面白い方だけどね。

(『教えて森山総長』その12に続く)

更新日:2010年4月18日