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吉永マサユキ×森山大道「今だからできること」 / 番外編:無名時代~やり方なんて何だっていい~

ゴールデン街サーヤにて行われた対談は、2時間半にも及んだが、実はこの対談にはもう一つの目的があった。
森山大道氏と吉永マサユキ氏の駆け出しの頃の気持ちを振り返ってもらうと同時に、当時の作品ブックを見せてもらおうというものだった。
残念ながら「昔の作品はほとんど持っていない」との事で、森山大道氏の作品ブックを見ることは出来なかったのだが、対談が終盤に差し掛かった頃、吉永マサユキ氏の作品ブックを見せてもらうことが実現した。(※作品の写真は無断で掲載する事を禁じます。)




吉永:じゃあブック見ますか?
森山:このブックはイギリスから帰ってきてから?
吉永:そうです。29か30くらいですね。旅行から帰ったのが25才で、そこから写真をやり始めて、27才で上京して助手をやってから、こういう写真を撮るようになったんですよ。
森山:大阪のビジュアルアーツには、どうして行ったんですか?
吉永:とりあえず写真をやるにあたって、わからないことを覚えようと思って。夜間だったけど、ぜんぜん学校に行ってなかった。でも、そこで助手の仕事を見つけたりすることができましたよ。



森山:この天使はどういう風な事で撮ったの?笑っちゃうけど。
吉永:簡単に言うと、写真をやりだしたら、お金がないんですよ。友達と遊びに行っても、みんなでカンパをしてくれて、俺からはお金を取らないということが7年くらい続いたんですよ。それで、こいつら、ええ奴らだな。なんか天使みたいやなって思って。
森山:なるほどね。
吉永:おじさんみたいな天使がいてもいいかなあと思って。
森山:おじさんよく頑張ってやってくれてるよね。



― これすごいですねー。よく許可してもらいましたね。
吉永:いや、許可なんて出ないですよ。申し込んでもどこも断られるから、友達連れて行ってゲリラよ。
― 水の中も撮影してますね。
吉永:みんなぷかぷか浮いちゃって。
― ほんとだ。水の中だと浮くんですね。
吉永:撮るときは、頭も浮くから、頭抑えてくれーっつって、自分の頭を抑えてもらいながら撮った。
森山:銭湯のブックにしても、天使のブックにしても、いずれにしても、はっきりと吉永さんがいるよね。
( 完 )

更新日:2007年6月28日